バックトラックとは
コーチングでは相手との信頼関係を築く、ラポールがとても重要ですが、そのラポールを築くスキルの一つとしてバックトラックがあります。バックトラックは、相手がいったことをオウム返しする方法で「バックトラッキング」と表現されることもあります。
例えば「最近暑くなってきたので、歩いて会社までいくのが辛いです」と相手がいったときに、「歩いて会社までいくのが辛いんですね」とか「最近暑くなってきましたね」と返すことです。
バックトラックの効果
相手が言ったことをオウム返しすることで、相手は自分の話を聞いてもらえているという安心感を持つので、相手とのラポール形成につながります。
また、バックトラックは相手との会話をスムーズにさせるという効果もあります。
バックトラックは相手とのラポールを形成するために使いますが、ミラーリングペーシングと合わせて使うことでより高い効果を発揮できます。
バックトラックのポイント
基本は相手が言ったことをそのままオウム返し
バックトラックのポイントはいくつかありますが、基本中の基本となるポイントは「相手が言ったことををそのままオウム返しする」ということです。
バックトラックは相手の信頼を築くスキルですが、相手と同じ動作をするミラーリングというスキルも一緒に使っています。
なので、たとえ言葉の意味が同じだとしても「相手が言った言葉と違う言葉」を返してしまってはその効果が薄まってしまうのです。
相手が言いたいポイントをバックトラックする
バックトラックするときには、相手が一番言いたい内容をバックトラックするようにします。
例えば「この3連休で家族とディズニーランドに行って、ミッキーマウスにも会えたし楽しかったんだ」と相手が言ったとします。
このときにバックトラックする内容は「3連休に行ったんだ」、「家族と行ったんだ」、「ミッキーマウスに会えたんだ」、「楽しかったんだ」などが考えられますが、相手が一番言いたいポイントをバックトラックするのが、相手とのラポールを築くうえでは重要となります。
今回の例においての正解はないですし、会話の前後関係や相手が何を大切にしてるかによって変わってきますので、普段から相手のことをよく観察して知るように心掛けることが大切です。
相手にとって好ましくない事実はほどほどに
場合によっては相手にとっては好ましくない事実をあなたに伝えてくる可能性があります。このような場合はバックトラックするのはほどほどにしましょう。
例えば「昨日の仕事で失敗しちゃって、上司に怒られて残業になっちゃった」と相手が言った場合に、「残業になってしまったんだね」とかはよいですが、「仕事で失敗したんだね」とか「上司に怒られたんだね」はあまり好ましくないバックトラックとなります。
ただし、相手が「仕事で失敗したこと」や「上司に怒られた」ことについてあなたに聞いてもらいたい場合もありますので、相手の話しているときの雰囲気や前後関係などもよく観察して適切な内容をバックトラックするようにしましょう。
バックトラックの種類
方法でのバックトラックの分類
バックトラックは、どのようにオウム返しをするかで分類することができます。大きく分けると3分類になります。
例えば「オリンピックで色々な競技で金メダル取ったけれど、私もやっていたソフトボールでの金メダルが一番感動しちゃった。色々問題もあったけれどオリンピックが開催されて本当に良かったと思うの」と相手が言ったとします。
文末をバックトラック
相手が言ったことの最後の部分をオウム返しします。
今回の例では「オリンピックが開催されて良かったと思ったんだね」となります。
キーワードをバックトラック
相手が言ったことのキーワードとなる部分をオウム返しします。正解はないですが相手が特に大事と思っていることや伝えたいポイントをキーワードとできると効果的です。
今回の例では「ソフトボールが感動しだんだね」となります。
要約のバックトラック
相手が言ったことを要約してオウム返しします。要約のバックトラックは相手が言った内容しだいでは、キーワードのバックトラックと同じになることもありますが特に問題ありません。
今回の例では「ソフトボールも含めて色々な競技で金メダル取れたからオリンピックが開催されて良かったね」となります。
内容でのバックトラックの分類
バックトラックは、オウム返しをする内容でも分類することができます。例えば相手が「夏休みに友達と野球を見に行って楽しかったんだ」と言ったとします。
事実のバックトラック
相手の言ったことの中から事実を見つけてオウム返しをします。今回の例では「夏休みに行ったんだね」、「友達と行ったたんだね」、「野球を見に行ったんだね」となります。
感情(気持ち)のバックトラック
相手の言ったことの中から感情を見つけてオウム返しをします。今回の場合は「楽しかったんだね」となります。
事実と感情の組み合わせ
実際の会話では事実と感情のバックトラックを組み合わせることもあります。「夏休みに野球を見に行って楽しかったんだね」などのようになります。