ペーシングとは、「相手の行動や感覚や気持ちを合わせる」ことです。
ペーシングとは
コーチングをする際には、相手と打ち解けたコミュニケーションを取る必要があります。
前の記事の「ミラーリング」でも紹介した通り
人は自分と共通点を持つ人に興味や信頼感を持つという特性があります。
ミラーリングと同じく、相手との共通点を意図的に築いていくというのがペーシングというスキルになります。
話し方や言葉のペーシング
話し方や言葉のペーシングは、相手が話すときのスピードや声の大きさやトーンなどに合わしていく方法です。
会話スピードのペーシング
人はそれぞれ会話するときのスピードというものを持っています。普段から他の人より早いスピードで話す方もいれば、比較的ゆったりとしたスピードで話す方もいます。
人は自分と共通点を持つ人やものに安心するので、会話のスピードも自分と同じ人とに対して安心感を持つことになります。
コーチングをする側のコーチも、その人の固有の話すスピードというものを持っています。
たまたまコーチングをする相手の会話スピードが自分と同じであれば、会話スピードを意識をして相手に合わせる必要がない場合もありますが、例えば「相手が早く話す人で自分がゆっくり話す人」、「相手がゆっくり話す人で自分が早く話す人」だった場合、相手に不快な思いをさせないためにも会話スピードを意識して相手と合わせる必要があります。
声の大きさ・トーンのペーシング
会話のスピードだけでなく声の大きさやトーンも人それぞれ特徴を持っています。また同じ人でもその人が置かれているシチュエーションやその時の感情によっても声の大きさやトーンは変わります。
相手の声の大きさに合わせ自分の声の大きさを調整したり、相手の話し方のトーンに合わせて自分の話し方のトーンを変えることが効果的です。
ボディランゲージのペーシング
ボディランゲージのペーシングは、服装・姿勢・身振り手振り・呼吸などを相手に合わしていく方法です。見た目に関するペーシングをされた相手は自分との差異が認識できなくなるので無意識に警戒感をゆるめることになります。相手のことをよく観察したうえで以下のようなポイントのペーシングをしてみましょう。
体全体のペーシング
体全体のペーシングでは、服装や立っているときの姿勢などを相手に合わせます。
服装のペーシング
相手の服装に合わせた服装をするようにします。例えば会社訪問する際に相手の会社の方のほとんどがスーツを着ている場合には、こちらもスーツを着るようにします。
また、昔ほどは髪型や髭に対しての考え方はゆるくなってますが、それでも特に年配の方などは奇抜な髪形や髭を伸ばすことに抵抗感を持っているかたもいます。相手の価値観に合わせた服装をするようにしましょう。
姿勢のペーシング
姿勢には主に立っているときの姿勢と座っているときに姿勢がありますが、それぞれ相手に合わせた指定をします。
立っているときの姿勢が背筋が伸びているのか丸まっているのか、座っているときの姿勢が前かがみになっているのか、椅子にもたれるような姿勢をしているかなどを相手に合わせます。
体の一部のペーシング
頭や肩など相手の体の一部をペーシングします。話しているときの頭の角度や腕の状態などを相手に合わせます。
よく相手を観察できるようになると気づくようになると思いますが、人は話すときに頭の角度が完全に垂直で話すことはほどんどありません。
話している本人も気づいていないことが多いのですが、前後左右どちらかに少し傾いて話をしています。その傾きを真似します。
また、相手が腕を組んでいたり足を組んでいたりする場合に、こちらも腕を組んだり足を組むことはペーシングとしては有効なのですが、腕や足を組むこと自体が相手に不快な気持ちにさせてしまうことがあるので注意が必要です。
動作のペーシング
相手がした動作もペーシングの対象となります。人は話をするときに無意識に手振りや身振りをしています。その手振りや身振りをさりげなく真似します。
身振り手振りが多い相手であれば、自分も身振り手振りを多くする。動作がほとんどなく動かな方に対しては自分も動きを少なくするなどします。
動作についてはやりすぎると不自然になるので何か一つの動きを小さく真似することも有効です。
雰囲気や考え方のペーシング
雰囲気や考え方までペーシングできるようになると相手の高い信頼感を得ることができるようになります。
雰囲気のペーシング
雰囲気には、明るい雰囲気や暗い雰囲気、騒がしい雰囲気や静かな雰囲気などがあります。
自分が普段から明るい性格をしているからといって、相手の方がそこまで明るい雰囲気でない場合には、こちらが明るい雰囲気をもって話をしてしまうとディスペーシングになってしまうことがあります。
相手の雰囲気に合わせられるように、普段から自分の雰囲気を相手の状況に合わせて変えられるよう練習していきましょう。
考え方のペーシング
相手の考え方にペーシングするのもラポールを築くうえではとても重要です。
考え方とは相手の価値観や信念、好みや趣味などになります。