この記事では、コーチング・NLPの「スライト・オブ・マウス」についてお伝えします。
スライト・オブ・マウスとは
人は「時間がないから本が読めない」、「話しが苦手だから仕事が上手くいかない」など、自分自身で「〇〇だから、□□できない」という思い込みをしてしまうことがよくあります。
NLPでは、この思い込みのことを「制限的ビリーフ」と呼んでいます。スライト・オブ・マウスとは、「制限的ビリーフ」を緩和させて、新たな選択肢を見出す言葉がけのスキルのことです。
相手が自分のビリーフに気づき、異なる視点や発想をもてる状態にすることを目的としています。
相手の制限をゆるめ、新たな選択肢を見つける手助けをするという気持ちで行うのがポイントです。
スライト・オブ・マウスは、14パターンがありますが、そのいくつかを使いこなすだけでもコーチングのスキルが格段に上げることができます。
ビリーフと制限的ビリーフ
人はあることがらに対して今までの経験をもとに「〇〇とは何々である」という定義をしています。このようにその人にとって一般化された考え方を「ビリーフ」といいます。
この「ビリーフ」のうち、「自分は何をやっても上手くいかない」とか「私は誰からも信頼されていない」などのように自分の行動に制限をかけてしまうような思い込みを「制限的ビリーフ」といいます。
このような思い込みは人生において役に立つことが少ないので、スライト・オブ・マウスを上手く活用して取り除くとよいでしょう。
スライト・オブ・マウスの具体例
「人前で話すのが苦手だから、人生が上手くいかない」を例にしてみます。
フレームサイズを変える
「1対1で話すはどうかな?」
「メンバーの一人として、発言に慣れていったらどう?」
フレームサイズを変えるとは、相手が変えられないと思っている事柄(フレーム)の
時間軸やサイズを変えることによってビリーフを壊そうとする方法となります。
例のパターンでは、人前(=大勢の人)を1対1に置き換えてサイズを変えたり、
1回の発言を複数回を前提として慣れていくという時間軸を変えたりしています。
リアリティ・ストラテジー
「何がきっかけでそう思ったの?」
「具体的にどこかで誰かに言われたことがあるの?」
リアリティ・ストラテジーとは「現実ストラテジー」ともいいます。
ビリーフがいつ・どのように生まれたかを明らかにしていく質問で
相手のビリーフを解きほぐしていきます。
意図
「苦手だとわかっているから、人前で話すとき注意できるよね。」
意図は相手の思い込みを価値あるものに変化する方法です。
価値があるものではないというビリーフの枠組みを壊して、
価値あるものに変えさせます。
世界のモデル
「リンカーン大統領も元々人前で話すのが苦手だったんだよ」
世界のモデルは、「広い世界の中でみたら例外がたくさんある」ということを示すことで
その思い込みがたいしたことないということに気付いてもらう方法です。
再定義
「人前で話す機会があるということは、誰かに必要とされているってことだよね。」
相手が言ったことを、ポジティブに言い換えたり、役立つものに表現し直す方法を
再定義といいます。似たような意味を持つ言葉の表現を変えて相手のビリーフを壊します。
例外
「人と上手く話ができたこともあるよね。」
「苦手っていってるけど、私とは話ができてるよね。」
例外は、人生の中で一度でもビリーフが成立しないことがなかったかを
確認することで、ビリーフが単なる思い込みであることを気付かせる方法です。
別のアウトカム
「話すの苦手なら、LINEとかの文章で送ってみたら?」
その人が持っているビリーフがなくなったら「もっと明るい未来を
描くことができる」と気付かせる方法が別のアウトカムになります。
価値基準の階層
「人生を上手くいかすことよりも、人生を楽しむことが大事じゃない?」
価値基準の階層は、本人が抱えているビリーフよりも、もっと大事なものや
価値あるものに気付かせてあがることでビリーフを壊す方法です。
チャンクアップ
「じゃあ、話すのが苦手な人はみんな人生が上手くいってないんだね」
チャンクアップは、ビリーフによって作られている思い込みを、わざと大げさにしたり
茶化したりすることにより、取るに足りないことだと思わせる方法です。
チャンクダウン
「人生が上手くいってないって、どんなところがそう思うの?」
チャンクダウンは、チャンクアップの逆の方法で、ビリーフを構成している要素を
細かく分解していくことで、思い込みを壊す方法です。
言葉自体に適用
「人前で話すのに慣れれば、人生上手くいくってことだね。」
相手が言った言葉を利用したり、逆手にとって茶化したりして
相手の解釈を変化させビリーフを壊す方法です。
相手が言った言葉をほぼそのまま使って上手く切り返すことがポイントです。
アナロジー
「会話って、卓球やテニスと一緒だと思うんだ。卓球やテニスも最初からうまい人はいないよね?」
例え話を使って相手の意識を別の方向に向けさせる方法です。
自分の意見を相手に直接ぶつけないため、相手が言葉受け取りやすくなります。
例え話の他に、有名な人の名言や格言を使うこともします。
メタフレーム
「人生で苦手なことや、上手くいかないことがあってもいいよね。」
相手のビリーフのもとのなっている根本的になビリーフを壊すことで
必然的にそのときに話題となっているビリーフも壊れるという方法です。
結末
「その考え方でずっといたら、私とも話せなくなっちゃうね!」
ビリーフを持ち続けているとその先にどうなるかを少し大げさなに伝えることで、
相手のビリーフを手放してもらうという方法です。
相手がネガティブに捉えないように上手く茶化した言葉を使うことがポイントです。